予防接種
予防接種(以下ワクチン)は子どもたちの命に関わるような重大な感染症を防ぐ目的で行います。しかし毎年多くの子どもたちがワクチンで予防できるはずの病気にかかり苦しんだり、不幸にも後遺症を残したり、死亡したりします。
当院では下記における定期ワクチン(公費接種)及び任意ワクチン(自費または一部補助)全てを重要と考えます。初めてのワクチンで、何から接種していいか分からない、または、接種漏れはないか?その他にワクチンに関することはお気軽にご相談ください。
当院では基本的なワクチンは常備しております。ご予約は24時間LINEまたは診療時間内にお電話または受付で直接ご予約ください。予防接種・健診の時間帯でご来院が難しい方は、一般診療時間内でも接種可能です(待合室の状況により別室で待機していただくことがありますが、ご了承ください)。
開始年齢 | ワクチン | 定期/任意 |
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2ヶ月~ | 肺炎球菌 | 定期 |
ヒブ | 定期 | |
ロタウイルス | 定期 | |
B型球菌 | 定期 | |
四種混合ワクチン | 定期 | |
5ヶ月~ | BCG | 定期 |
6ヶ月~ | 日本脳炎 | 定期 |
6ヶ月~ *毎年10月~ | インフルエンザ | 任意 |
1歳~ | 麻しん・風しん | 定期 |
水ぼうそう | 定期 | |
おたふくかぜ | 任意 | |
年長 | 風疹・風疹2回目 | 定期 |
おたふく2回目 | 任意 | |
三種混合ワクチン | 任意 | |
11歳~ | 二種混合ワクチン | 定期 |
小学6年生~ | 子宮頸がんワクチン | 定期 |
※子宮頸がんワクチンはお電話にてご予約ください
シナジス注射について
シナジスとは
RSウイルスを予防する注射です。RSウイルスは乳幼児期にほぼすべての児童が罹る風邪ウイルスの一つです。風邪ウイルスといっても、小さく生まれた早産や、心臓や肺、免疫系に生まれつきに病気があるお子様が感染すると、重症化する可能性があるウイルスです。従いまして、重症化のリスクのある一定のお子様に健康保険で注射が認められています。
対象児童
・28週以下の早産だった、現在12カ月齢以下のお子様
・29~35週の早産だった、現在6カ月齢以下のお子様
・過去半年以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた、現在24カ月齢以下のお子様
・先天性心疾患(CHD)であり、現在24カ月齢以下のお子様
・免疫不全が認められる、現在24カ月齢以下のお子様
・ダウン症候群であり、現在24カ月齢以下のお子様
注射の方法とスケジュール
流行期(概ね8月から3月)に1回/月来院いただき、太ももに筋肉注射をします。
予約方法
注射希望日の3日前までにお電話にて予約ください
出生状況や病状が分かるもの(母子手帳や紹介状)を持参ください。
ご予約・お問い合わせ
TEL: 0982-66-7611
抗生剤の使用について
風邪には抗生剤は効かない!
風邪や胃腸炎の原因の多くはウイルスです。実はウイルスをやっつける薬はありません。風邪や胃腸炎の治療は症状を緩和する薬、安静や水分補給が基本です。つまり抗生剤は効果がありません。そればかりか、不適切な抗生剤投与によるデメリットが危惧されております。
怖い耐性菌の出現
その一つに耐性菌の出現があります。耐性菌とは、抗生剤が効きにくい菌のことです。この菌は抗生剤を投与することによって、人の体内で増殖します。そしてこの菌による感染症を発症した時に、治療が非常に困難になります。怖いのは増殖しても気づきにくいことです。そして、人から人へ、地域へ、時に国外へ伝播し、世界中で深刻化しております。さらに近年、多剤耐性菌といって、ほとんど全ての抗生剤に効果が無い菌が出現し、世間を脅かしております。
抗生剤投与が
アレルギー疾患と関連!?
また、最近の研究で乳幼児期の抗生剤投与が喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の発症と関係しているという研究結果も、国内外で報告されております。腸内は無数の無害な細菌が生育しています。無害どころか、人の正常な生理機能の一端を担い、有害な病原体から身を守ってくれています。抗生剤投与がこれらの腸内の細菌に影響を及ぼすと考えられています。
当院では抗菌化学療法(抗生剤治療)指導医として、適正な抗生剤投与の使用及び普及に努めてまいります。
アレルギー診察
アレルギーの病気はアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、気管支ぜんそく、食物アレルギーなど多岐に渡ります。
赤ちゃんの皮膚の病気
子どもの皮膚の病気としては、水ぼうそう、手足口病、とびひなど感染性のもの、川崎病や紫斑病など全身性のものなど多岐に渡ります。これらを適切に診断し、治療することは重要です。中でも乳児期早期から現れる湿疹、アトピー性皮膚炎に対しては、当院では専門性を活かして治療に取り組んでおります。
赤ちゃんのスキン・ケア・治療の重要性
2004年、日本小児アレルギー学会初代理事長の馬場実先生が「アレルギーマーチ」という概念を提唱しました。これは、遺伝的・体質的にアレルギーになりやすい子が、異なる時期に次々とさまざまなアレルギーを発症するという考えです。まず、乳児期に湿疹・アトピー性皮膚炎が発症し、その後に食物アレルギー、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、花粉症といった症状につながっていきます。アトピー性皮膚炎が重症であり、発症が低年齢で、炎症が生じている期間が長くなるほど、将来的に他のアレルギー性の病気の発症リスクが上がります。また、湿疹のある皮膚から微量の食物が侵入して、食物アレルギーを発症することも分っております。このことは、生後間もない頃からお肌を健康に保つことが、その後のアレルギーの発症及び食物アレルギーの発症を予防することをも意味し、これらを裏付ける研究結果も国内外で報告されております。
当院では乳児期の湿疹・アトピー性皮膚炎の治療及びスキンケアの指導を積極的に行っております。赤ちゃんの皮膚のトラブルでお困りの方はお気軽にご相談ください。
食物アレルギーの診療
食物アレルギーは、ある特定の食物を食べた後、アレルギー反応により、じんましんなどの皮膚症状、嘔吐や下痢などの腹部症状、咳やぜーぜーなどの呼吸器症状を起こす病気です。食物アレルギーの診断は、詳細な病歴・血液検査・皮膚検査などを参考に、食物経口負荷試験で確定します。食物経口負荷試験は何をどの程度食べたらどんな症状が出現するか、その場で確認できる最も確かな検査です。当院ではアレルギー専門医が立ち会いのもと、外来にて食物経口負荷試験を実施しております(完全予約制)。また、当院では前述のごとく、食物アレルギーの発症予防にも力を入れており、乳児期早期からのスキン・ケアの指導を行っております。ご心配な方はお気軽にご相談ください。
アレルギー性鼻炎に対する
免疫療法
子どもの鼻汁、鼻詰まり、くしゃみなど鼻炎症状の多くは感染性かアレルギー性、またはその両者が合併しています。これらを適切に診断、治療することは重要です。感染性ではほとんどがウイルス性であり、前述のごとく不要な抗生剤を投与しないことが重要です。アレルギー性に関しては近年ダニアレルギー、スギ花粉症の低年齢化が指摘されております。2018年から舌下免疫療法の適応年齢が5才に引き下げられました。舌下免疫療法は、微量のダニやスギのエキスの入った舌下錠(舌の下において吸収される薬)を毎日継続して服用することによって、体がダニやスギに過剰に反応しない体質にすることによる、アレルギー性鼻炎の根本治療です。現在、当院では多くの子ども達が舌下免疫療法で通院されております。鼻炎でお困りでしたらお気軽にご相談ください。